研究概要 |
エンドセリンは3種のアイソフォームが存在(ET-1、ET-2、およびET-3)し、受容体には、これら内因性リガンドに対する親和性の異なるもの2種(ETA受容体、ETB受容体)があることがしられている。眼組織でも様々な組織においてET-1、ET-3が産生または貯蔵されていて、ET受容体もかなり密に分布することがしられている。当教室の研究において網膜血管はET_A受容体を主に有し、非血管組織はET_B受容体が主であることが明らかにされた。ET_B受容体は脳ではグリア細胞に多く、中枢神経機能の調節を行っている可能性が示唆されており、同様に網膜でも神経伝達に何らかの形でかかわっていることが推測された。我々は免疫組織化学的手法を用いて眼球、特に網膜でのエンドセリンの局在を研究し、血管系のみならず、神経伝達系におけるエンドセリン役割をさぐった。Spraque-Dawleyラットの眼球を用いて、抗ET-1抗体、抗ET-3抗体を用いて間接抗体を施行した。ET-1,ET-3は視細胞内節以外の層に発現がみられた。特にET-3は顆粒層に放射状に発現がみられ、Muller細胞と考えられた。網膜においてET-3がMuller細胞を介してneurotransmissionのmodulatorとして機能しているのではないかということが推測された。また、抗ET_A受容体、抗ET_B受容体を用いて、間接抗体法を施行した。ET_A受容体はほぼ網膜全層に発現がみられたが、ET_B受容体は主として神経線維層および内網状層に発現が認められた。網膜全層に分布するET_A受容体は血管細胞およびMuller細胞に、ET_B受容体はganglion cellを中心とした伝達系に関与する可能性が示唆された。現在Western Blot、Nothern Blotを施行し、生化学的手法を用いて分析中である。このデータと併せて投稿予定である。
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