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1995 年度 実績報告書

眼科領域の悪性腫瘍の増殖・浸潤・転移機構に関する糖鎖生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07671928
研究種目

一般研究(C)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

上原 文行  鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30168653)

研究分担者 鮫島 宗文  鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
キーワード腫瘍 / 糖鎖生物学 / レクチン / シアル酸転移酵素
研究概要

種々のヒト眼瞼・眼窩腫瘍組織を構成する個々の細胞について、細胞表面の複合糖質の糖鎖をレクチン組織化学的に検索するとともに、細胞質内のシアル酸転移酵素のmRNA発現分布をin situ hybridization組織化学的に検索し、比較、検討したところ、個々の細胞の糖鎖合成に関する動的情報を読み取ることができることが判明した。即ち、シアル酸含有糖鎖合成が、活発な細胞、既に終了した細胞、および行われていない細胞を識別できるとともに、当該複合糖質糖鎖のturnover速度などを推測することが可能であることが判明した。具体的には、基底細胞癌の腫瘍細胞塊辺縁に柵状に分布する腫瘍細胞の複合糖質の糖鎖は、Galβ1,3GalNAcとGalβ1,4GlcNAcまでは形成されているが、シアル酸は転移されていない段階にあり、腫瘍細胞塊内部の腫瘍細胞はシアル酸が転移されていることが明らかになった。一方、脂漏性角化症の肥厚した表皮の顆粒層の細胞は、シアル酸α2.3Galを認識するレクチンで染色されるにもかかわらず、α2.3シアル酸転移酵素のmRNAの発現が観察されなかったことから、シアル酸含有糖鎖合成が既に終了した細胞であると推定されるとともに、シアル酸α2.3Galを含む糖鎖(とくにO-結合型)のturnoverは遅いことが明らかになった。シアル酸α2.6Galを認識するレクチンの結合分布と、α2.6シアル酸転移酵素のmRNAの発現分布はほぼ一致していたことから、シアル酸α2.6Galを含むN-結合型糖鎖のturnoverは速いことが推定された。本法は当初の予想どおり、個々の細胞レベルで、種々の腫瘍組織の病態とシアル酸含有糖鎖発現との関係を理解するのに有用であることが判明し、糖鎖病理学の新しい研究方法を確立することができたと言える。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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