研究課題/領域番号 |
07671939
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 一之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60004850)
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研究分担者 |
小島 正美 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40183339)
水野 敏博 金沢医科大学, 医学部, 助手 (20239247)
藤沢 来人 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40199310)
中泉 裕子 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (70131026)
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キーワード | 白内障、 / 画像解析、 / 分光透過率、 / 水晶体透明度、 / シミュレーション、 / 模型水晶体、 / 網膜投影像、 / 散乱光強度、 |
研究概要 |
研究の最終目的は様々な混濁程度・形態を呈する白内障眼を通して網膜に投影される外界の像をシミュレートすることであるが、これには多くの生体情報が必要であり、これまでに以下の事項を検討した。 (1)生体レベルでのヒト水晶体透明度の加齢変化、(2)幼若及び加齢ラット水晶体を試料とした分光透過率測定法の検討、(3)ヒト核混濁水晶体の分光透過率、(4)核白内障眼の光透過特性と視機能(臨床検査値との関係)、(5)ヒト水晶体の散乱光強度と光透過度、および水晶体年齢(仮称)の推定、(6)核混濁模型レンズによる網膜投影像のシミュレートと生体計測値からの推定。 結果:(1).水晶体の13層の散乱光強度を透明水晶体1,040眼を対象に測定しその加齢変化をみた。大部分の層で散乱光強度は指数関数的に上昇した。この傾向は40歳代後半を過ぎるとより明瞭となった。(2).摘出水晶体を分割してもこれより高い再現性をもって分光透過率を求めることができた。(3).(2)の結果から混濁程度の異なるヒト核白内障水晶体を試料として、その分光透過率を測定し、混濁程度別の分光透過率曲線を求めた。ヒト水晶体は約380nm以上の光を透過し、混濁の増強とともに透過度が衰減することが証明できた。(4).(3)での対象眼(30眼)の術前臨床検査から得られた視機能と核部の光透過度を比較した結果、コントラスト感度は透過率が約5%を下回るあたりから低下することが明らかとなった。核混濁は眩明感にはあまり影響はあたえないことも確認できた。(5).(3)での対象で術前に計測した散乱光強度は、分光透過率と負の直線的相関を示した。この結果より生体計測値から水晶体の光透過度の推計が可能となった。(1)の結果を元に透過率の加齢変化が求め、水晶体年齢(仮称)の指標とした。(6).上記全ての情報を基に核混濁程度の異なる模型水晶体(光学ガラス、PMMA製)を作成し、これを通して得られる像と散乱し光強度、及び分光透過率の関係を検討した。光透過率で60%を下回ると物体の認識に影響が出てくることが推察された。生体計測から得られた水晶体散乱光強度を指標とし、網膜に投影される像をシミュレートすることが可能となった。 これまでの結果より核混濁水晶体を通しての見え方のシミュレートと基本理論は確立した。後襄下混濁、皮質混濁モデル水晶体を現在作成し、最終網膜投影像はこれまでとは異なる新しい方法でシミュレートする予定で研究を進めている。
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