研究概要 |
眼内での一酸化窒素(NO)とその合成酵素(NOS)について、特に炎症と白内障を焦点に研究し以下のことが明らかとなった。 1)眼内で炎症物質としてNOがはたらいていることを動物実験(ラットのぶどう膜炎モデル)で証明し、さらに炎症時のNOの産生とNOSの誘導について動物実験と培養細胞を用いた実験を行い、炎症への関与の仕方を明らかにした。当初合成酵素は誘導型(iNOS)のものが炎症で主な役割を演じていると予想したが、nitroarginineとimonoethylornithineの両阻害剤をもちいた結果、炎症の開始にはむしろ構成型(cNOS)が関与し、その後iNOSが機能することが明らかとなり、これは新知見であった。 2)水晶体上皮細胞のNO産生培養水晶体上皮細胞を用い、サイトカイン刺激によるNO産生とNOS活性を調べた。次に水晶体全体を器官培養し、正常水晶体が刺激に反応するか調べた。阻害剤に対する反応性についても検討した。更に炎症モデルから摘出した水晶体のNO産生とNOS活性について調べた。これらの結果、水晶体上皮はin vito,in vivo両方でNOを産生し、眼内炎症時には実際にNOを産生すろことが判明した。このことより白内障の発生とNOが深く関与することが示唆された。 3)これらを踏まえ、白内障を実際に生じさせる実験や眼内のNOを実際に定量する、in vivoの実験を予定し、更に眼内でのNOの機能について明らかにしたいと考えている。
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