本研究の目的は、実験的に蛍光造影剤として静注されたインドシアニングリーン(ICG)投与後の網脈絡膜組織におけるICGの局在を超微細形態的に証明し、さらに投与後の経時的変化をみることでICG蛍光造影の読影を確実なものとする。次に、眼に種々の操作を加えてICG蛍光造影を行いICGの網膜脈絡膜組織における超微細レベルでの局在と病変との関係を解明する。これらの所見は、今後の臨床におけるICGの読影の解釈に寄与する。 平成7年度の実験計画として、実験動物に成熟有色ラット(Brown-Norway系)を用いてICGの網膜脈絡膜超微細構造における経時的局在変化を、ICGの金属沈澱物の分布を観察することで細胞内外で明らかにする予定で研究を進めた。 当初の実験計画は、(1)ICGを25mg/Kg静脈内投与後、30秒、5分、20分に眼球を摘出し塩化第二鉄を添加した2.5%グルタールアルデヒド液にて固定した後、アルコール系列で脱水しエポン包埋を行った(ICG、金属沈澱法)。(2)網脈絡膜の超薄切片を作成し、電子顕微鏡を用いて超微細構造をICGを投与していない対照群と、ICGを投与し各時間で摘出したICG投与群をそれぞれ観察した。(3)対照群とICG投与群を比較検討すると同時に、ICGの網脈絡膜超微細構造における経時的局在変化をICG金属沈澱物の分布を細胞内外で観察した。 以上の方法で超薄切片を作製し電子顕微鏡で観察したが、網膜脈絡膜におけるICGの金属沈殿物を明確に証明することは出来なかった。金属沈殿物らしい粒子を認めたが、再現性に乏しかった。原因としては、塩化第二鉄が非常に不安定な物質であるためにICGと塩化第二鉄の沈澱物をin vivoで固定することが難しいと思われた。現在固定法及び塩化第二鉄の投与方法を検討改善し網膜脈絡膜超微細構造におけるICGの局在を確実に証明するよう研究を進めている
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