(1)ラット眼球内に単純ヘルペス1型ウイルスを接種し、眼内炎、脳炎を発症された。眼内炎および脳炎の伸展経過の検討にはまず抗単純ヘルペス1型ウイルス抗体を用いた免疫組織学的手法を用いることによって、ウイルス蛋白の出現、分布様式を明らかにした。 (2)in situハイブリダイゼーション法による発現mRNA産物の検出のため、方法論を広範に検討した。細胞の同定のためシゴキシゲニン標識cRNAプローブを用いる方法が最適であると結論した。なお、この検出法は正常眼組織および傷害眼で発現産物が量的変化を呈している組織の両者において有用であることを確認した。 (3)アンチセンスオリゴ核酸投与群と非投与群との眼内炎および脳炎の進展経過の差やアンチセンスオリゴ核酸の核酸配列や化学的修飾状態、アンチセンスオリゴ核酸の投与量や投与経路の違いによる単純ヘルパス1型ウイルス抑制効果の差を比較するために免疫組織学的手法だけでなく、in situハイブリダイゼーション法を用いて単純ヘルペス1型ウイルスDNAの組織における発現状態をみる。 (4)眼内炎、脳炎を発症せしめたラットを対象とし、眼球および脳からウイルスを抽出。ウイルス蛋白やウイルスDNAの定量を行い、アンチセンスオリゴ核酸の核酸配列や化学的修飾状態、アンチセンスオリゴ核酸の投与量や投与経路の違いによる単純ヘルペス1型ウイルス抑制効果の差を比較する。 (5)ヘルペス眼内炎を代表とする眼内感染症では、網膜を発症と脳内伝播の主座とする。網膜の免疫機能の推移を追及する指標として、網膜でのμオピオイド受容体発現をin situハイブリダイゼーション法で検出し、感染の進展にともなう変化を明らかにする。
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