1)ウシ水晶体の初代培養上皮細胞の水晶体線維細胞屁の分化 aウシ水晶体の初代培養上皮細胞も水晶体線維細胞への分化し、多くのレンズ様体が培養皿の中に形成された。その際β-CGとα-クリスタリンの変動を調べたところ、β-CGはα-クリスタリンよりも先行して増加し、その後徐々に減少したが、一方α-クリスタリンはβ-CGより約2週間遅れて増加しはじめ、その後高濃度が維持されていた。 b.抗β-CG抗体による組織染色を行ったところ、lentoidbody自身はほとんど染色されず、その周辺の細胞が明瞭に染色されたが、抵δ-クリスタリン抗体ではlentoidbodyのみが強く染色された。 2)ニワトリ胚の初代培養細胞色素細胞の水晶体細胞への分化 a.網膜色素細胞を一度脱分化させた後、再度水晶体線維細胞へ再分化させる方法は、培養条件や試薬に著しく左右され、再現性が得られず、本研究の目的達成には用いれることはできなかった。 b.網膜色素細胞から直接、水晶体細胞に分化させる方法は、短時間に効率よく、しかも再現性よく、lentoidbodyが形成された。しかし、抗β-CG抗体およびα-クリスタリン抗体ともに、lentoidbodyとその周辺の細胞は明瞭に染色されなかった。 3)β-CG特異的水解酵素由来ペプチドのアミノ酸配列 a.得られた総数47個のペプチド断片についてアミノ酸配列の解析を行った。その結果、16個のペプチド断片のアミノ酸配列の解析に成功した。140kDa由来ペプチド断片と90kDa由来ペプチド断片、115kDa由来ペプチド断片と100kDa由来ペプチド断片といったサブユニット間で非常に相同性の高い破裂が確認された。 b.既知のタンパク質データーベースよりFASTAを用いホモロジー検索を行った。ほとんどの本酵素由来ペプチド断片のアミノ酸配列は、既知のタンパク質とは一致しないことが確認された。しかし、115k由来ペプチド断片と100kDa由来ペプチド断片の一部は、細胞骨格タンパク質であるサイトケラチンとほぼ100%のホモロジーを示した。そして、サイトケラチンと相同性のあるペプチド断片は、全てサイトケラチンのロッドドメインに集中していた。
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