研究概要 |
遅筋線維を含む上直筋と,速筋線維のみからなる眼球後引筋とを白色家兎から摘出し,Krebs-Ringer溶液中で酸素供給をしながら,一端を張力測定用半導体ロードセルに,他端をバイブレーターと同軸に取り付けた位置測定用直線型ポテンショメータに装着し,次の測定を行った. (1)等尺性強縮時に0.1mmの急速短縮(quick release)させた際に起こる張力変化. (2)静止時および等尺性強縮時に20Hz, 1mmの振動を与えた際におこる張力変化. その結果, (1)急速短縮させると筋の張力は急激に低下したが,その後,短縮前の張力レベルに向かって指数関数的に回復した.急速短縮から200msec.の時点の回復張力は上直筋よりも眼球後引筋の方が大きかった. (2)振動により起こる張力変化を静止時P_oと強縮時Pとで比較するとP/P_oは剛度を表す.上直筋のP/Poは眼球後引筋のそれの約1.5倍であった. 上直筋は眼球後引筋と比較して急速短縮後の張力回復が遅かったのは遅筋線維の収縮要素の張力発現が速筋線維よりも遅れるためと推察された.また,遅筋線維は速筋線維と比較して高い剛度を有することが明らかとなった。
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