研究課題/領域番号 |
07671948
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50193628)
|
研究分担者 |
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
|
キーワード | 肝移植 / 小児 / 身体発育 / 骨塩 / クル病 / ビタミンD / 副甲状腺ホルモン |
研究概要 |
生体肝移植後の身体成長発育の機構を検討する目的で、本年は当初の予定よりより長期的経過をみるために、移植後2年以上経過して生存中の50例を対象に生活の質を含めたデータの集積をおこなった。 1。身長体重の変化と肝機能の推移について。患児の87.5%は、毎日登校(園)していた。身長体重、特に身長は、術後3カ月目から増加を開始するが、術後半年の時点ではまだ発育遅延が認められた。免疫抑制剤は、プログラフとステロイドによっているが、ステロイドは術後3-6月で中止されており、これが移植後成長発育曲線の3カ月頃の上昇に良好な結果をもたらしている因子の一つと考えられる。肝機能が正常に復しない症例が17%みられたが、これらの症例では成長発育も不良であり、肝機能自体も術後発育に重要な要素である。 2。骨塩定量について。協力がえられた17例の、胆道閉鎖症に対して生体肝移植が施行された患児について、DEXA法(dual energy X-ray absorptiometry)にて、腰椎骨塩量を測定し得た。その結果、(1)全例で、腰椎骨塩量は術前に低値を示した。術後は、3カ月をすぎると一定した増加を示すようになり、これは、身長体重の増加と一致していた。(2)骨代謝関連因子の測定。活性型ビタミンDは、移植前は全例低値で、移植後は3カ月後に増加した。また、術後3カ月には、副甲状腺ホルモンの活性も上昇した。血中骨由来アルカリフォスファターゼレベルは、肝性クル病の状態にある術前は高値で、術後一旦低下、そして3カ月後には再上昇した。これらの変化も術後3カ月頃の骨代謝の活性化を示した。 3。インスリン様成長因子、同結合蛋白、成長ホルモン結合蛋白の測定に関しては、本年度は検体採取保存のみにおわり、今後測定を行う予定である。
|