実験動物:New Zealand White Rabbitの雌(以下NZWR)及び胎仔(NZWRF)NZWR:背部皮下にポリビニルアルコールスポンジ(4×2cm)を埋め込んだ創傷モデルを作成し術後1.2.3.4.57日目にスポンジを取り出す。このスポンジに含まれる浸出液(WF)を遠心にて採取した。NOの代謝産物である亜硝酸及び硝酸の濃度をGreiss反応を用い測定した。亜硝酸及び硝酸の濃度は術後2日目に最大となり、以後に減少した。 NZWRF:妊娠24日目に胎児手術を施行することでポリビニルアルコールスポンジ(1.5×0.8cm)を同じく背部皮下に埋め込み、同様のモデルを作成した。術後1.2.3.4.5.7日目に帝王切開にて胎児を取り出し、同様にWFを採取し、亜硝酸及び硝酸濃度について同様に測定した。亜硝酸及び硝酸の濃度は術後1日目及び5日目に高値をとり、術後3日目が最低となる二峰性の経過を示した。 成体に比べ胎仔では術後1日目及び5日目のNO産生が高く二峰性の経過であった。また、NZWR及びNZWRFの創部の病理標本を作製しポリビニルアルコールスポンジ内に浸潤した炎症細胞数を測定した。NZWRではマクロファージ数が術後2日目に最高値となり、以後減少した。亜硝酸及び硝酸の濃度変化と一致する経過を示した。NZWRFではマクロファージ数は術後3日目及び7日目に高値となり、亜硝酸及び硝酸の濃度変化と比べ遅れた変化を示した。 さらに、それぞれの創部に対してNOS活性の亢進を確認するため、NADPHジアホラーゼ組織化学法にて染色したところ、亜硝酸及び硝酸の濃度が両者を通じてもっとも高値であった NZWRFの術後5日目の創部でマクロファージに一致した染色陽性が全マクロファージの4.6%に認められた。
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