研究概要 |
理化学研究所よりATDC5細胞を入手し、牛胎児血清(FBS)を含むDMEMとHamF12の混合培地を用いて培養し、さらにinsulin(10μg/ml)を加えた培地でこの細胞を軟骨細胞に分化誘導したところalcian blucで染色されたtoluidine blucでmetachromasiaを示す軟骨基質が確かに形成された。電子顕微鏡で観察しても比較的細いcollagen fibrilとproteoglycan顆粒からなる軟骨基質が密に形成されていた。さらに培地を5%FBSとinsulin(10μg/ml)、VitamineCを含むα-MEM培地に交換し、4週間培養したところvon Kossa染色で染色される石灰化基質が形成された。この石灰化組織は,β-glycerophosphateを2mMの濃度で培地に加えることによって安定して形成されることがわかった。この石灰化した組織を電子顕微鏡で観察すると細胞周囲性に結晶が沈着していた。β-glycerophosphateを加えたものでも同様で特に細胞内に結晶が沈着するような所見は観察されなかった。このような形態学的解析からこの細胞を使った系で確かに生体内の状態に近い石灰化軟骨組織を誘導できることが判明した。次にこの系で合成されるproteoglycanの構造解析をするために、軟骨組織が形成された時点で^3H-glucosamineと^<35>SO_4で標識し、イオン交換とゲルろ過で合成されるproteoglycanを精製したところ、軟骨型proteoglycanであるaggrecanの他、かなりの量のsmall proteoglycanが合成されていることが判明した。現在これらのproteoglycanの詳しい構造解析を遂行中である。 また本科学研究費で購入した備品を用いてマウス下顎頭軟骨の発生過程を検索して論文にまとめ、間もなく発表される予定である。
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