研究概要 |
歯科領域における炎症性疾患とカルシウム結合蛋白との関連を調べるために、まず、三叉神経節や口腔領域の各組織におけるparvalbumin,calbindinD-28k,calretininの分布を調べた。これらのカルシウム結合蛋白は三叉神経節の神経細胞や歯髄の象芽細胞層直下の神経線維及び歯根膜の'Ruffini ebndiugさらには、口蓋ヒダのmechanoreceptorにおいて免疫組織化学的に検出された。また、歯科領域における炎症性疾患とカルシウム結合蛋白及び神経ペプチドとの関連を遺伝子レベルで調べるために三叉神経節におけるin situ hybridization組織化学法を確立した。 calretininに対するanti-senseDNAを合成し、3末端にジゴキシゲニンを修飾した。三叉神経節を4%paraform aldehydeにて固定後、凍結切片とパラフィン切片を作製し、hybridizeした。凍結切片においては、全くシグナルが観察されなかったが、パラフィン切片においては、三叉神経節の中型及び大型の細胞に強いシグナルが認められた。凍結切片におけるmRNAは、RNAaseによりhybridizeする前に分解されたと考えられた。 以上の結果から、正常ラットの三叉神経節において、カルシウム結合蛋白のmessengerRNAの存在を明らかにした。さらにカルシウム結合蛋白は、三叉神経節の神経細胞で合成され、口腔において特殊な分布を示すことが明らかとなった。 平成8年度においては口腔内に炎症をおこし、calretininのmessengerRNAの変化を調べる予定である。
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