研究課題/領域番号 |
07671972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小川 郁子 広島大学, 歯学部・付属病院, 講師 (70136092)
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研究分担者 |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 唾液腺腫瘍 / nm23蛋白 / CD44 / カドヘリン / bc1-2蛋白 / TGF-β / Plasminogen activator |
研究概要 |
1.癌転移抑制遺伝子産物nm23-H1蛋白の発現状況を唾液腺腫瘍、口腔扁平上皮癌(OSCC)で調べ、転移との関連を検討した。その結果、腺様嚢胞癌では良性、低悪性度腫瘍に比べて本蛋白の発現が減弱している例が多く、さらに転移症例でその傾向が強かったことや転移巣での発現の減弱が認められたことより、nm23-H1蛋白の発現の低下が転移能亢進を示す一つの指標となり、予後推測の補助的因子となりうる可能性が示唆された。一方、OSCCでは約半数の症例で正常粘膜上皮より発現が減弱していたが、転移との間に有意な相関性は見出せなかった。 2.細胞接着分子CD44v6とv9の発現状況を上皮異形成症、OSCCで調べ、v9については転移との関連も検討した。その結果、上皮異形成の段階ですでに発現の減弱傾向が見られ、OSCCでv9発現の減弱消失している例では有意に転移を来しやすく、予後も不良であることが明らかとなった。上皮間の接着分子E-cadherin、α-cateninの発現もOSCCでは減弱しており、発現低下が転移と相関している傾向がうかがわれた。 3.Apoptosis抑制蛋白bc1-2、癌抑制遺伝子p53の発現と放射線治療効果との関連を調べた結果、生検組織で両蛋白の発現が見られない症例の転移率は有意に低く、高い放射線治療効果が期待できることが明らかとなった。 4.OSCCの間質では、線維芽細胞、マクロファージや血管内皮細胞がtransforming growth factor(TGF)-β陽性で、autocrine,paracrine的に血管内皮細胞の増殖に関わっていると考えられた。 5.OSCCでは、マクロファージに加えて癌細胞自らが細胞外マトリックスの破壊に関わるplasminogen activatorを産生し、特に浸潤の先端部でその傾向が強かったことより、癌細胞が間質の破壊に積極的に関与していることが示唆された。
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