本テーマによる初年度(平成7年度)は、予定のごとく成熟マウスにカプサイシン(50mg/kg)を皮下投与し、2時間後に灌流固定した後延髄を採取し、エポン包埋した。超薄切片を作製し三叉神経脊髄路核(TSN)を電子顕微鏡で精査した。TSNの表層にカプサイシンによって変性した一次知覚ニューロンの終末が観察された。それらは脊髄におけると同様な細長く曲がりくねった、小型の円形または扇形の終末で、中には芯なしのシナプス顆粒で満たされている、いわゆるCIタイプの終末であった。それらは多くの樹状突起や少数の軸索様突起に囲まれてシナプス糸球体を形成していた。このことから、口腔、顔面領域でも侵害受容性の一次知覚ニューロンは小型のニューロンであることが判明した。今後それらの中枢性終末とTSNの固有のニューロンと考えられるGABA陽性やオピオイド陽性ニューロンとの関係について調べる予定である。
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