研究概要 |
私共は、破骨細胞の分化とSCL遺伝子の発現を調べ、成熟破骨細胞が形成されてくる時期、さらに成熟破骨細胞でこの遺伝子発現が認められている。そこで、SCL遺伝子の破骨細胞分化と機能に及ぼす影響を検討するため、アンチセンスオリゴを破骨細胞分化系と成熟破骨細胞に添加することによってSCL遺伝子産物の役割を調べた。また、SCLの発現ベクターを細胞内にトランスフェクションし、SCLを強制発現させることによって細胞の分化が促進されるか否か検討するため、温度感受性T抗原遺伝子を導入する方法を用いて、osteoclast progenitor cellsの樹立化とクローン化を試みた。 1α,25-(OH)_2D_3(10^<-8>M)刺激による破骨細胞形成系に、anitisense SCL oligonucelotideを添加してSCL遺伝子の翻訳を抑制したところ、骨吸収窩の数は抑制されたがTRAP陽性細胞数は抑制されなかった。negative controlとして用いたsense SCL oligonucelotideを添加した場合は何ら影響は認められなかった。これらの結果から、SCL gene productは、破骨細胞の骨吸収機能に関与している可能性が考えられた。これらの結果から、SCL gene productは、破骨細胞の骨吸収機能に関与している可能性が考えられた。そこで、成熟破骨細胞による骨吸収系にantisense SCL oligonucelotideを添加したところ、明らかな抑制が認められた。さらにこの抑制現象は、PTHまたはIL-1βによる破骨細胞に対しても同様に認められた。以上の結果から、SCL gene productは破骨細胞の骨吸収機能を調節している核内転写因子のひとつであると考えられる。 現在、SCLの発現ベクターを細胞内にトランスフェクションし、SCLを強制発現させることによって細胞の分化への影響を検討するため、osteoclast progenitor cellsの樹立化とクローン化を温度感受性T抗原遺伝子を導入する方法を用いて試みている。
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