研究課題/領域番号 |
07671987
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
池田 通 昭和大学, 歯学部, 講師 (00211029)
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研究分担者 |
横瀬 敏志 昭和大学, 歯学部, 助手 (90245803)
山口 朗 昭和大学, 歯学部, 助教授 (00142430)
吉木 周作 昭和大学, 歯学部, 教授 (30085740)
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キーワード | オステオポンチン / トランスジェニックマウス / 遺伝子導入 |
研究概要 |
【目的】骨基質蛋白のひとつであるosteopontinはその生理機能がまだ不明であるが、RGD配列を有することから、細胞接着機能を介して骨代謝に影響をおよぼしている可能性が考えられている。我々はin situ hybridizationにより、成熟骨組織では骨芽細胞ではなく、破骨細胞を含む骨吸収系の細胞でosteopontin遺伝子が発現していることを以前確認した。このことは、osteopontinが骨吸収に関与していることを示唆しているが、今回in vivoでのosteopontinの機能を明らかにする目的で、マウスosteopontinを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製し、解析した。 【方法】マウスosteopontinのcDNAをcytomegalovirus enhancer/chick β-actin promoterと融合させたtransgeneを、C57BL/6N x B6C3F1マウスの受精卵核内にmicroinjectionしてトランスジェニックマウスを作出した。これらのトランスジェニックマウスより得られたF1およびF2マウスを用いて、Northern hybridization, in situ hybridization, 抗osteopontin抗体を用いた免疫組織化学染色、tartrate resistant acid phosphatase (TRACP)活性染色、hematoxylin-eosin染色をおこなった。 【結果】得られた15ラインのトランスジェニックマウスについてNorthern hybridizationをおこなったところ、11ラインはtransgeneの発現を認めたが、ライン間で発現レベルおよび発現臓器は異なっていた。また、骨組織を含む主要臓器で比較的高い発現を示した4ラインのF1マウスでは、発育遅延をきたした小型の個体が出現し、そのうちのひとつのラインでは、そのhomozygoteのF2マウスでほぼ全例に小型化を認めた。また、上記4ラインの骨組織の組織学的解析をおこなったところ、一次海綿骨梁およびTRACP陽性細胞の著明な減少が認められた。さらに抗osteopontin抗体を用いた免疫組織化学染色では、Northern hybridizationやin situ hybridizationの結果とは異なり、ほぼ骨組織特異的に蛋白が認められた。 【考察】一次海綿骨梁が減少している原因として骨の形成不全または骨吸収の亢進が考えられるが、全身的な発育不全を伴っていたことおよび、TRACP陽性細胞が著明に減少していたことから、骨形成過程に異常があることが考えられた。トランスジェニックマウスにおいてTRACP細胞が著明に減少していた理由は不明であるが、現在各週齢のマウスを用いて骨組織の異常がいつ発現するかについて検討中であり、こらによりある程度原因が類推できるものと思われる。また、osteopontinのmRNAと蛋白の局在とに異なる部分が認められたことについては、詳細を明らかにすべく、現在Western blottingをおこなって比較検討中である。
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