研究概要 |
骨の石灰化現象と関連してI型コラゲンに代わり、非コラゲン性タンパク質が注目され、種々のタンパク質が報告されているが、今回はオステオポンチンに注目し、そのC末端部分とほぼ中央部分のペプチドを合成、それぞれを抗原として抗体を作製した。昨年は主として新生児ラット(生後1〜2日齢)と13週齢を用いて検索を行ったが、本年は加齢的変化を中心として54週齢、および107週齢ラットの骨組織(頭蓋骨、脛骨、下顎骨)と歯牙硬組織(セメント質)について検索を行った。新生児ラットでは4%パラホルムアルデヒドと1%グルタールアルデヒド混合液にて浸漬固定、成熟ラットに関しては心臓からの灌流固定を行い材料とした。脱灰後、GMAまたはL.R.White包埋し、電顕免疫染色にはimmunogold法を、光顕的には銀増感法を用いた。新生児ラットでは初期石灰化部位に顆粒状の反応産物(いわゆるelectron dense patches)が類骨を除いた骨基質に認められた。また強い反応がlamina limitansやcement lineにも認められた。時に破骨細胞の明帯に一致して反応産物の局在が観察された。コラゲン原線維には免疫反応は全く観察されなかった。成熟ラットではc端に対する抗体では殆ど染色性が観察されず、中央部分に対する抗体ではlamina limitansや骨細管壁に沿って明らかな反応産物の局在が観察され。以上のことからオステオポンチンのheterogeneityが示唆された。更に107週齢ラットの頭蓋骨、脛骨、下顎骨の観察では免疫反応はcement line,cementing lineに著明であった。歯牙硬組織であるセメント質ではその表面、歯根膜主線維が入り込む領域にオステオポンチンの反応が局在していた。以上の如く新生児から107週齢に及ぶ硬組織におけるオステオポンチンの局在を検索し、その形態学的局在を明らかにした。
|