研究概要 |
酸性領域のpHを可視化するために用いられるアクリジンオレンジによる生体染色ではガラス又は骨面上で培養した破骨細胞の細胞質が染色された。しかし生体染色では細胞の酸性pHは可視化できても細胞外の可視化は不可能で,DAMPを用いるとそれを取り込んだ細胞はもちろんその物質は化学固定により不動化され免疫染色することにより細胞内,外の低pH領域が染色され可視化できることが判った。破骨細胞は細胞によりその染色程度は異なり,骨面上で培養し吸収窩を形成した細胞ではその細胞質とともに細胞外の吸収窩が染色されpHが酸性領域であることが可視化できた。プロトンポンプや炭酸脱水素酵素の抑制剤(バフィロマイシン,アセトアゾラミド)の処理では細胞外の低pH化はほとんど消失するが細胞内の変化はわずかであった。破骨細胞の機能変化に対応してpH変動することが証明できた。また破骨細胞の細胞質にはDiOC6(3)をプローベとした検索で小管構造が充満しておりそれらの構造が細胞内の低pH領域であると考えられた。それらの小管構造は従来の化学固定法では小管構造の断裂,変形を引き起こし大部分が小胞構造となるが急速凍結固定法の観察結果からそれらは連続した小胞管状構造で破骨細胞の機能と密接に関係する小器官であることが判明した。
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