研究概要 |
多形性腺腫16例、筋上皮細胞腫8例で検索を行い、muscle specific actin(MSA), cytokeratin(AE1/AE3, CK-14), glial fibrillary acidicprotein(GFAP)およびvimentinを用いて観察を行った。症例により固定状態が異なるため結果にも相違が生じた。には光顕的にMSA と keratin の二重染色では良好な結果が得られたが、その他の組み合わせでは相違が生じた。MSA、keratin共に腫瘍細胞の特に導管様構造を呈さない紡錘形のnon-luminal tumour cell に多く認められた。病理組織学的に両腫瘍は鑑別困難な部分が認められるが、それらを鑑別することは不能であった。 電顕的観察では光顕と同様MSA と keratin の抗原の保存状態は良好であったが、GFAP、vimentin は固定状態が不良でありほとんど観察できなかった。これらを解決するためには新たな固定液の選択が必要であると考えられるが、同一の症例に対して多数の固定液を用いることは困難であると考えられる。また腫瘍細胞(non-luminal tumour cell)内にmyofilament、intermediate filament、tonofilamentが多数見られたがMSA、keratin、vimentin, GFAPの反応が認められた症例はわずかであり、両腫瘍を鑑別するまでには至らなかった。 出産後1,2,3,4,5,6,7,8,10,14週齢の発育過程の筋上皮細胞について上記抗体を用いて光顕免疫組織化学的検索を行ったが、筋上皮細胞の由来を確定するためには至らなかった。目的の達成には出生前の発生段階の検索を行う必要性があると考えられる。また、DMBA 誘発唾液腺癌を作成し、多形性腺腫様病変の病理組織学的、免疫組織学的検索を行い、MSA と kerratin の反応が導管様構造物に観察されたが、病変の発生確率が低くく多くを検索するすることが出来なかった。同様に電顕的に部位を同定することが困難なため充分な検索をすることが出来ず、さらに症例同様固定液の選択が必要になるものと考えられる。
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