Tuft cellは呼吸器系、胃腸域、胆嚢、膵管、ラット唾液腺導管系の中腔性器官に広く存在している。その形態学的特徴は1)頂部と基底部が細く、核部が太くなつた形態を有している。2)頂部には非常に長い微絨毛を有している。3)微絨毛内から核上部にかけてアクチンフィラメントが走り、頂部には中間系フィラメント、微小管が多数細胞長軸方向に走っている。4)各細胞骨格の間には多数の小胞が存在している。どの部位のtuft cellも基本的にはほとんど同じ特徴を持っているにもかかわらず、その機能に関しては、まったく解明されていない。ラット顎下腺主導管のtuft cellは分泌機能を有する事が私達の研究から明らかにされている。管腔側には小胞の他被覆小胞も観察される。被覆小胞は特殊物質の吸收の他、開口分泌された余剰の膜の回收に働らいていると考えられている。凍結置換法を用いると、固定完了までに時間がかかる化学固定に比べ刻刻と変化する生体組織内の化学反応、超微構造の変化を捉える事が出来る。小胞や被覆小胞と細胞骨格および管腔面の形質膜との関係を調べるため液体窒素凍結置換法を用いた。この方法では純銅ブロック圧着面より数ミクロンしか無構造凍結の得られる範囲はない。Tuft cellは7%と少ないので、1)今年度はどの様な切り出し方で行うのが一番効率がいいか、また2)細胞骨格と小胞との関係を調べる為サポニンの量はどれくらいが一番適当かをしらべた。 1)主導管は被膜から出て舌下腺と顎下腺が平行に走っている。両者を同時に切り出していると顎下腺を見つける時切り出しを行わなければならない。数ミクロンがすぐ無くなってしまうので、顎下腺のみを切り出し横段面を圧着させる必要がある事が分かった. 2)サポニンの量が多すぎると細胞膜が破壊されてしまうので、0.1%-0.15%が適当である事が分った。
|