研究概要 |
平成7年度に計画された研究項目は以下の事柄であった。即ち、(1)Porphyromonas gingivalis培養上清からアルギニン特異性を示すプロテアーゼを分離し、精製を行う.(2)生体由来プロテアーゼインヒビターで特に、α_2マクログロブリンとプロテアーゼの複合体を作成する.(3)プロテアーゼの培養細胞に対する作用を確認することである。これらの計画は予定通りほぼ達成され、得られた成績の一部は平成7年10月、第37回歯科基礎医学会総会(東京)で発表した。さらにその成績を雑誌「医学と生物学」に投稿し、第132巻、第4号(平成8年4月)に掲載される予定である。 研究計画の次の段階として平成8年度はプロテアーゼあるいはプロテアーゼ・プロテアーゼインヒビター複合体による炎症性サイトカインの誘導、発現を調べる予定である。調べる予定のサイトカインはIL-1, IL-6, TNFα等であり、また発現を確認するための細胞として線維芽細胞、リンパ球、内皮細胞あるいはマクロファージを考えている。 近年、プロテアーゼによりα_2マクログロブリンが修飾あるいは活性化され、これが組織や細胞を刺激して炎症発現に関わっているのではないかという研究が広がりつつあるが、我々の当初の目的であるプロテアーゼ・プロテアーゼインヒビター複合体による炎症発現ならびに細胞致死効果に関する研究報告はまだなされておらず、歯周疾患と微生物プロテアーゼの関係を明らかにするため、平成8年度もひき続き研究を進める必要がある。 科学研究費の助成を受け、本研究計画の基礎実験が概ね終了できたことを深く感謝致します。
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