研究概要 |
1.無髄のC線維にあることが古くから証明されてはいるが急性の痛みの伝達物質としては疑問視されてきているsubstance P(SP)について、脊髄後角侵害受容ニューロンを用いて実験を行い,急性疼痛においても伝達物質あるいは神経活動修飾物質であることを示すデータを得た。 (1)短潜時、長潜時発射にたいする効果:侵害受容ニューロンの記録部位は脊髄後角の浅層部に局在していた。ニューロンのタイプとしては、特異的侵害受容ニューロン(NS)と広作動域ニューロン(WDR)の両者が記録された。長潜時発射は、主として150〜250ms前後にみられた。SP抗薬RP-67580投与後、約80%のニューロンの長潜時発射は統計的に有意な抑制をうけた。一方、短潜時発射については統計的に有意な減少はなかった。 抑制をうけたニューロンの割合、及び長潜時発射の抑制率は、ニューロンの記録部位やニューロンの生理的性質(NS、WDRの区別)とは無関係であった。 (2)投射、非投射ニューロンにたいする効果:投射、非投射ニューロンはそれぞれ15個ずつ記録された。有意な抑制をうけなかったニューロンの割合を比較すると非投射ニューロンが13%であるのにたいし、投射ニューロンは40%であった。また、抑制をうけたニューロンの平均抑制率は非投射ニューロンで23.5Control%、投射ニューロンで57.2%であった。 (3)慢性神経結紮ラット:拮抗薬投与による抑制は、正常ラットと結紮ラットとで差はなかった。
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