軟骨内骨化は、多様な因子群によって複雑な制御を受けており、その制御機構の全容は、いまだ不明である。本研究は、いままで知られていなかった、軟骨内骨化におけるHGFの生理的役割を明らかにするために、in vitroおよびin vivoの両面からHGFに反応する軟骨細胞の存在部位、その分化段階および特定の場でのHGFの作用機序の解明を試みた。 ラット胎仔(胎生17-20日)の四肢の筋組織より未分化間葉系細胞を分離して、単層高密度培養および軟寒天培養を行なった。一部の培養系にHGFを添加して軟骨形成に対する作用を検討したところ、HGFはBMP-2比べてに弱いものの軟骨形成誘導作用を持つことが判明した。また、成長軟骨細胞の高密度培養系にHGFを添加して軟骨細胞の分化機能に及ぼす作用を検討したところ、HGFは成長軟骨細胞の増殖および基質合成にはあまり著明な作用を示さなかったが、アルカリフォスファターゼ、X型コラーゲンなどの最終分化マーカーの発現を強力に抑制することがわかった。 一方、4週齢ラット肋軟骨、徑骨骨端の凍結切片を作成して抗ラットHGF抗体を用いて免疫組織化学的検索を行ったところ、HGFは肥大軟骨細胞層に多量に存在することがわかった。 以上の知見の一部は、平成7年度日本骨代謝学会において発表した。
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