研究概要 |
内軟骨性骨形成は、胎生期にまず軟骨形成によってはじまる。このようにしてできた軟骨性骨原基では、中心部から軟骨細胞は肥大化をはじめて石灰化に至る。石灰化軟骨領域への血管侵入に伴って、骨細胞の前駆細胞が骨化中心に持ち込まれ、分化した破骨細胞によって徐々に軟骨基質は、骨に置き換えられ骨髄腔も確保される。従って、胎生期の骨格形成においては、石灰化軟骨領域にはじめて分化した破骨細胞が出現することになる。本研究では、破骨細胞の分化に石灰化軟骨が機能的な役割を果たす可能性について検討した。まず、幼若ウサギの肋軟骨成長板から軟骨細胞を分離培養した。軟骨細胞の各分化段階、Day6(コンフルエント)、Day22(成熟期)、Day42(肥大化期)、Day48(初期石灰化期)、Day57(石灰化期)にconditioned mediumを回収し、medium中の破骨細胞分化促進活性をピット形成アッセイ(Bone Min. 17 : 347-359, 1992)ならびにTRAPアッセイ(Blood 74 : 1295-1302, 1989)により検定した。その結果、石灰化軟骨細胞は特異的に破骨細胞分化因子を培地に分泌していることが、明確に示された。さらに、我々は、この破骨細胞分化促進活性をウシ胎仔骨端軟骨抽出物から、精製することに成功した。その結果、活性因子の本体は、軟骨細胞に対するオートクリン因子として我々が発見したChondromodulin-II (ChM-II)であると同定された。ChM-IIは、3-10ng/mlの濃度で強力に破骨細胞の分化を促進した。また、この際、ビタミンD_3の共存を必要としなかった。
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