研究概要 |
Chambersらの方法に準じ,生後1日齢のWistar系ラットから摘出した左右脛骨,大腿骨を細切し,遊走した細胞をプラスチックのカバースリップ上に付着させ,接着性の差により破骨細胞を単離した。このカバースリップを24穴ディッシュに移し,0-500pM CSF-1及び15%FCSを含むIB培地にて培養した。培養終了後,酒石酸抵抗性酸性 フォスファターゼ染色を施し,破骨細胞を同定した。破骨細胞の機能発現を検索する目的で,ロ-ダミンファロイジン染色によるアクチンの局在のインテグリンを介して細胞骨格と結合する接着因子Osteopontin(Op)mRNAのin situ hybridizationを行った。また一部の破骨細胞はアクチンの重合に必須といわれるNa^+/H^+交換体type 1(NHE1)のC末端側の抗体による免疫抗体染色を行った。 破骨細胞はCSF-1無添加の対照群では,72時間後に殆ど全て死滅してしまい生き残った細胞も形態が小さくほとんどOp mRNAの発現が認められなかった。一方,CSF-1添加群では添加直後から細胞形態は伸展し,72時間後には巨大化した破骨細胞の核は周辺部に偏在するようになり、アクチンリングが形成された。Op mRNAの発現は単離直後,またはCSF-1刺激により細胞が伸展しただけでは強く発現せず,核が周辺部に押しやられ特徴的な形態になってから強く発現した。最終的にアクチンリングを持ち,極性化した破骨細胞ではOp mRNAは非常に強く発現し,またすべての破骨細胞はNHE1を強く発現した.CSF-1無添加の破骨細胞でもNHE1は細胞質全体に一様に染色され,CSF-1添加により極性化した破骨細胞では,NHE1のリング状構造がアクチンの分布と近接するように観察されたが,蛋白量が増加するような像は観察されなかった。
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