研究課題/領域番号 |
07672028
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山田 庄司 昭和大学, 歯学部, 教授 (00111617)
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研究分担者 |
鈴木 恵子 昭和大学, 歯学部, 講師 (50119187)
天野 均 昭和大学, 歯学部, 講師 (90212571)
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キーワード | CSF-1 / 破骨細胞 / 細胞融合 / オステオポンチン / アクチンリング / NHE1 / 細胞内Ca^<2+> / 極性化 |
研究概要 |
本年は研究の最終年度として今までに行ったCSF-1の成熟破骨細胞及び前駆細胞に及ぼす影響に関する研究の総括とまとめを行った。我々はラットより単離した破骨細胞を用いてCSF-1がどのように影響を与えるかを検索してきた。その結果、CSF-1により破骨細胞は細胞同士の融合現象が促進されること及びチロシンの燐酸化が成熟破骨細胞の融合に関与することを報告した。本年度は、CSF-1受容体がその燐酸化を受けた後の細胞内情報伝達機序を解明する目的で、我々はマクロファージにおいて、CSF-1により活性化調節を受けることが知られているNa/H交換体(NHE)に着目し、その働きを検索した。また破骨細胞を象牙片上に播種しCSF-1添加により骨吸収活性を検索した。CSF-1添加群では、添加後チロシンの燐酸化に伴い細胞骨格が変化し、アクチンのリング様構造が出現した。このアクチンリングは、細胞上部には存在せす、底面に局在し破骨細胞の極性化が認められた。また破骨細胞の細胞内Ca^<2+>濃度はCSF-1添加直後に核及び膜付近で一過性に上昇し、それ以後一部の核と伸展部位の膜付近のみ周期的なCa^<2+>濃度の上昇が数回観察された。またそれに伴い細胞内pHの上昇が起こり、細胞外へのH^+の排出が確認された。免疫抗体染色による結果では、すべての破骨細胞は、NHE isoform 1を強く発現していた。CSF-1添加により極性化した破骨細胞では、NHE1のリング状構造がアクチンの分布と近接するように観察され吸収窩形成も亢進した。さらにCSF-1によって引き起こされる一連の現象はNHEの特異的阻害剤であるアミロライド誘導体により完全に阻害された。破骨細胞は、CSF-1レセプターを介するtyrosine kinaseの上昇とそれに伴うNa^+/H^+輸送体の活性化により、最終的にアクチンリングを持つ極性化したものに分化誘導されることが示唆された。
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