ヒト唾液高プロリン蛋白質P-B遺伝子及びその関連遺伝子をクローニングする為ヒトゲノムライブラリー(Charon35)をP-BcDNA断片をプローブとしてスクリーニングした。得られた陽性クローンB41の塩基配列を解析したところ、B41はP-Bと類似しているが同一でない蛋白質に対応する遺伝子の断片であると考えられた。そこでこの遺伝子をPBIと名付けた。次にB41の5'側に相当するオリゴヌクレオチドをプローブとして再度ヒトゲノムライブラリー(EMBL3)をスクリーニングして陽性クローンb21を得た。b21の塩基配列を解析したところ、このクローンはB41の5'側に延長部分を有するものであrことが判明した。b21DNAの約7kbの塩基配列をP-BcDNAの塩基配列と比較した結果PBIは3個のエキソンより成り、b21にPBIの全領域が含まれると判断された。PBIは転写に必要とされるプロモータ配列を上流域に含み、スプライシングに必要なCURAY配列を2個のイントロン内に含んでいる。2個のイントロンは共にGT-AG規則を満たしている。また、エキソン部は開始コドンATGに始まり終止コドンTAAにより終結する134残基の蛋白質をコードすることが可能である。この蛋白質の成熟型をP-B1と名付ける。終止コドンTAAの下流にはポリA付加シグナルが存在する。P-B1とP-Bは高いホモロジーを有するがP-B1のサイズはP-Bの約倍である。P-B1の顎下腺での発現をPCR法により検討したが、顎下腺では発現されていないと考えられる。極めて類似した蛋白質でありながら、P-Bのみ顎下腺で発現されている必然性について今後検討して行きたい。
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