研究概要 |
高プロリン含有蛋白質P-B関連遺伝子の発現制御機構、発現組織、系統樹上での発現位置等を把握することにより、その機能を解明することを目的として本実験を行った。 P-B関連遺伝子をクローニングするため、ヒトゲノムライブラリーをP-BcDNAのフラグメントをプローブとしてスクリーニングした。得られたクローンB41はP-B遺伝子そのものではなくP-B関連遺伝子の3'側領域を含むものであった。そこでB41の5'側フラグメントをプローブとして再度クローニングしb21を得た。b21の塩基配列決定を行ったところ、b21はP-B関連遺伝子(PBIと命名)の全領域をカバーしており、そのサイズはおよそ6.4kbである。P-BcDNAと照合の結果、PBIは3つのエキソンより成り、それぞれのサイズは、88bp,68bpおよび508bpである。PBIは転写開始因子TATAbox,翻訳開始配列ATG終止コドンTAAポリA付加シグナルAATAAAを有し、また2つのイントロンはGT-AG規則にあてはまる。従ってPBIは発現可能な遺伝子と考えられる。 PBIがコードすると考えられる蛋白質(P-B1と命名)は22残基のシグナル配列と112残基の成熟蛋白質配列より成る。P-B1とP-Bのシグナル配列は完全に一致する。P-B1の成熟蛋白質のサイズはP-Bのものの約2倍で、P-B1のN末側61残基はP-B57残基と高いホモロジーを示す。なおラットのPR-Vβ1,マウスのMSG1も明らかに同じグループに属する蛋白質である。ヒト唾液腺cDNAをPCRで増幅後、制限酵素消化により解析したところP-B1はヒト唾液腺では発現していない見込みである。
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