研究目的 口蓋裂患者の鼻咽腔閉鎖機能の恒常性に及ぼす成長発育要素の影響を明らかにすることを研究目的としている。 研究対象と方法 幼児期から青年期に至る非裂健常者(82名)と口蓋裂術後患者(80名)を研究対象として、鼻咽腔周囲構造の成長発育を比較検討した。研究対象を、4歳時(stage1)・8歳時(stage2)・12歳時(stage3)・17歳時(stage4)の4発育段階に区分し、側面頭部レントゲン規格写真上で計測を行った。 研究結果 健常者における鼻咽腔周囲構造(頭蓋骨基底部・上頚椎部・上顎骨後部)は各成長発育段階を通じて相互に調和的な成長発育を示した。口蓋裂術後患者では、頭蓋骨基底部および上頚椎部の成長発育は健常者と差異はなかったが、上顎骨後方部は著しい垂直発育障害が認められこれに対応する環椎レベルでの垂直発育との不調和を示すことが明らかとなった。 本研究結果は、鼻咽腔閉鎖機能不全患者で咽頭弁移植手術などの二次的治療の適用を検討する上で重要な指針となるものである。
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