研究課題/領域番号 |
07672046
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤田 實 広島大学, 歯学部, 助教授 (90116658)
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研究分担者 |
大谷 敬子 広島大学, 歯学部, 助手 (20243587)
赤木 由起夫 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (40222509)
広川 裕 広島大学, 医学部, 助教授 (40116653)
内藤 久美子 広島大学, 歯学部, 助手 (10155632)
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キーワード | 放射線治療 / 多分割照射 / 口腔癌 / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
口腔癌に対する多分割照射の有効性を知るために、21例の新鮮扁平上皮癌を対象に、多分割放射線治療が行われた。2年生存率は、T1及びT2症例の割合が高かったこと、救済手術の寄与が高かったことなどの寄与があったため、比較的高く全体で66.7%であった。しかし、多分割照射によって生存率が大きく改善されると思われる要素はなかった。 局所制御率では線量の影響が原発腫瘍のサイズによって現れた。低いT病期では制御率が高かったことから、従来手術が治療の主体であった歯肉癌、頬粘膜癌などは、形態・機能を温存するという立場から小照射野を用いた多分割放射線治療の適応になるものと考えられる。一方、局所進行癌では、従来と同様の低い制御率であったことから、総線量の増加・化学療法の効率的併用を考慮することが早急な課題と考えられた。 放射線治療に対する反応のうち、急性粘膜反応は通常分割照射よりも強い粘膜炎が生じたが、耐容の範囲内であり治療の休止の必要はなかった。 晩発反応は、観察期間が短く障害の発生は低かったが、歯科の立場からの全口腔単位での綿密な管理の重要性が示唆された。これに基づいて、将来に向けての新たな治療法の展開に向けて、多分割照射単独治療群と化学治療法併用群との比較を行った。局所制御率は、単独治療で腫瘍制御に限界があるように思われたのに対して、化学療法併用群では局所制御に改善がみられた。多分割照射に化学療法を併用することの臨床的利点はまだ明かにされていないが、治療比の改善を図る一つの選択肢と考えられた。
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