研究概要 |
平成8年度基礎研究として唾液腺腫瘍特に、多形性腺腫のサイトケラチンの分布を二次元電気泳動電気泳動法により検討した。その結果、多形性腺腫ではCK5,CK6,CK7,CK8,CK13,CK14,CK15,CK18,CK19の存在が明らかとなった。ゲル上での蛋白の分離は良好で、高い精度が得られた。正常唾液腺に比べ扁平上皮マーカーケラチンと、基底細胞筋上皮細胞マーカーケラチンの発現量の明らかな増加を認めた。マタ、ビメンチンの発現量は増加しておりGFAPも認められた。 次に、ウシ蹄から精製したCK蛋白を免疫源としてマウスに免疫し、モノクローナル抗体を作成した。唾液腺での反応性は多様であり、すべての上皮性細胞に反応する抗体のほか、基底細胞のみを認識する抗体、基底細胞と筋上皮細胞の持つ共通の抗原決定基を認識する抗体などが得られ、今後の腫瘍マーカーへの応用が期待された。 平成8年度臨床研究としては唾液腺腫瘍患者の血清サイトケラチン19の腫瘍マーカーとしての有用性の検討を行った。現在、悪性多形性腺腫、粘表皮腫、腺様嚢胞癌担癌患者の長期の経過観察を行っており、腫瘍の浸潤、転移とCYFRA21-1との相関を追跡中である。次年度も引き続き症例の収集を継続予定である。
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