辺縁性歯周炎の臨床的動態の違いは炎症性歯肉に浸潤している免疫担当細胞の違いによるものと考えられるが、免疫担当細胞が局所においてどのように関与しているかは現在まで明らかにされていない。そこで今回は局所の炎症における免疫担当細胞の関与を明らかにするために、細胞の種類、サイトカイン産生及び産生細胞について免疫組織化学的検索を行った。臨床的に慢性炎症症状の患者から採取した炎症性歯肉においてCD4陽性ヘルパーT細胞、CD20陽性B細胞、CD68陽性モノサイト/マクロファージの存在を確認できた。T細胞とB細胞は歯肉固有層のコラーゲン線維束間に浸潤し、集簇する傾向が見られたが、マクロファージは固有層全体に散在していた。これらの3種類の細胞の中でT細胞が占める割合が多く、歯肉溝滲出液中のインターロイキン-4(IL-4)と臨床的炎症症例との間に関連性が認められたので、抗炎症例サイトカインであるIL-4に着目し免疫染色を行ったところIL-4陽性細胞を検出することができた。抗CD4抗体と抗IL-4抗体を用いて二重染色を行った結果同一の細胞がこれらの抗体により染色され、IL-4産生細胞はCD4陽性ヘルパーT細胞であることが判った。CD4陽性ヘルパーT細胞はIL-4を産生し、辺縁性歯周炎において局所的な炎症動態を調整している重要な因子の一つであることが示唆された。来年度はさらにヘルパーT細胞のIL-4遺伝子発現に関して検索していく予定である。
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