研究概要 |
辺縁性歯周炎の臨床的動態の違いは炎症性歯肉に浸潤している免疫担当細胞の違いによるものと考え、細胞の種類、サイトカイン産生細胞について免疫組織化学的検索を行った。臨床的に慢性の炎症歯肉において、CD4陽性ヘルパーT細胞、CD20陽性B細胞、CD68陽性マクロファージの存在を確認でき、これらの3種類の細胞の中でT細胞が占める割合が多いので、T細胞が産生する抗炎症性サイトカインのインターロイキン-4(IL-4)に着目し免疫染色を行ったところIL-4陽性細胞を検出することができた。続いてIL-4遺伝子発現細胞を検索していた段階でTokoroらが炎症歯肉における1L-4遺伝子発現細胞について報告した(Clin Exp Immuno1,1997)ので、辺縁性歯周炎に類似の根尖性歯周炎に着目した。T細胞が産生するサイトカインのなかでIFN-_γと1L-4の免疫染色を行ったところIFN-_γ産生細胞は検出できたが、IL-4産生細胞は検出できなかった。IL-1やTNFがマクロファージの一酸化窒素合成酵素(iNOS)を誘導しさらにIFN-_γその産生を増強することや、一酸化窒素(NO)が高濃度では破骨細胞の活性を抑制し、逆に低濃度では促進するという報告から、根尖性歯周炎におけるIFN-_γ産生細胞の役割について検討するために、IFN-_γ産生細胞とiNOS産生細胞の局在を検索し、同一忠者より得られた根尖性歯周炎の病理組織にIFN-_γ産生細胞とiNOS産生細胞を検出することができた。以上のことからT細胞が産生するIFN一_γは根尖性菌周炎において破骨細胞の活性に関わるメデイエーターの一つとして働いている可能性が考えられる。
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