研究課題/領域番号 |
07672052
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 強志 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (90136888)
|
研究分担者 |
野井倉 武憲 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40102561)
川島 清美 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40145511)
|
キーワード | Scintigrashy / Early image / Malignant tumor / Blood flow / Head and neck |
研究概要 |
(動物実験)成熟家兎(体重約2kg)の大腿部にVX2癌を移植し、移植後10日〜15日に、双方向超音波血流計(DVM-4200P)を使用し、大腿部動脈(腫瘍側、対照側)の血流速(cm/秒)、血流量(ml/分)を測定した。その後、腹腔動脈を剖出し、生理食塩水で大腿部の血管を潅流し、造影剤(硫酸バリウムあるいはオムニパークを注入して、腫瘍部の血管造影を実施した。さらに、腫瘍部の単位面積当たりの血管量の組織学的検索を試みた。結果:腫瘍部の血管量は造影像、組織像で豊富であり、血流速、血流量とも腫瘍側で著明に亢進し、今回の検討では約2〜3倍に増加していた。 (臨床的検討)約100例の口腔癌患者についてシンチ検査を実施し、うち47例について腫瘍血管量を病理組織学的に検索した。血流像は、99mTc-HMDPシンチにより、静注30〜40秒の静脈相、1〜3分の貯留相について腫瘍部と対照側の放射能活性を測定し、両者の比を各々VR、BPRとした。TcシンチのEarly像を静注5分後に、Ca像は静注72時間後に撮像し、VR、BPR、Early像、Ga像、病理組織像の血管量を相互に比較した。結果:VR、BPRは各々1.61〜0.73、1.72〜0.95の値であり、1.1以下、1.1〜1.3、1.3以上の3群に分けられた。病理組織像の血管量はrich群10例、intermediate群21例、poor群16例であった。両者の比較では、rich群のVRは平均1.39、BPRは平均1.31、intermediate群のVRは平均1.16、BPRは平均1.16、poor群のVRは平均0.97、BPRは平均1.02であり、腫瘍部の放射能活性は血管量(血流量)を反映している事が証明された。さらにEarly像の陽性像は血管量の多いrich群の7.8%がVR1.3以上、100%がBPR1.3以上を示し、血流量と明らかな相関が見られた。今回の検討ではGa像は血流量より腫瘍サイズに影響され、小サイズの腫瘍の検出率はGa像単独では42%であったが、Early像(血流像)との組み合わせで62%に向上した。結論:動物実験の結果からactive growthの時期の腫瘍は比較的小サイズであるにも関わらず、血流は正常に比較して有意に増加しており、Early像(血流像)による比較的小サイズの腫瘍の検出の可能性が示唆された。
|