研究概要 |
本研究は、頭頚部悪性腫瘍患者に[^<18>F]fluoro-deoxyglucose (FDG)というトレーサーを用いたPositron Emission Tomography (PET)を施行し、PETが腫瘍のイメージングならびに治療効果の判定という点で、他モダリティーより優れた診断装置となりうるか否かを検討するものである。本年度17症例についてPETを施行しつぎのような成績が得られた。 1 FDGはSq. C. C. Non Hodgkin Lymphoma, Oncocytic carcinoma, Myoepithelial carcinomaなどの悪性腫瘍組織に集積した。 2 Non Hodgkin Lymphoma症例において、他のモダリティーで陰性だった潜在的病巣にFDGの集積があり、PET施行後6カ月に同部位から再発が見られ、治療効果判定に有望と思われた。 3 持続的に緊張していると筋肉思われる組織にFDGが集積する例があり、false positiveと判定された症例があった。また逆にCTでpositive、FDG-PETでnegativeと判定された組織を調べると、悪性腫瘍細胞は認められるものの、その成分の組織に占める割合は少ないことがわかった。腫瘍細胞の構成割合が低い場合には、PETでfalse positiveとなる可能性を示していると思われた。 FDGの集積部位は手術後の病理所見とほぼ一致することがわかり、当初計画した重要な研究目的は達成されたと思われる。しかしながら炎症性部位や筋肉への集積といったfalse positive症例や、腫瘍細胞構成比によりfalse negativeになる可能性があり、それらをいかに低減させるかが検討課題としてあげられる。 放射線治療効果の判定としてのPETの役割は、CT, MRIで検出できなかった潜在的病巣を検出できたという点で有望と思われるが、最長でもまだ6カ月の経過観察期間なため明らかに断定できるものではなかった。
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