研究概要 |
顎関節の準動態観察を3-D MRI volume scanにて行い、得られた画像データをWorkstationに転送し、独自の顎顎運動解析ソフトにより顎関節症症例の顎動態について解析した。使用MRI機種は1.5-T MRI(SIGNA,advantage ver.4.8)で、3-inch dural surface coilを使用した。3-D fast GRASS sequenceを用い、至適撮像条件はFOV15cm,TR-TE/Flip angleは16.5/3.9/30とし、1NEX,matrixは256x128バルク厚は42mmで60partition,スライス厚さは0.6mmに設定した。正常ボランティア2例において開閉口運動を5分割し、それぞれの顎位で3-D volume scanを施行し、Workstation上で、関節頭の滑走経路の評価を行った。また、顎関節症症例10例(男性1例、女性9例、平均年齢30歳)において同様の方法で解析した。コンピュータ解析では、関節頭の運動経路とともに、関節頭の水平移動距離、垂直移動距離、関節頭の回転角度について評価した。正常例では、関節頭の運動経路は開口路、閉口路ともに一致した。顎関節症症例における解析結果では、開閉口路の一致しなかった症例は4例に認められた。これらの症例で、関節頭の前方移動量の左右差については、開閉口路の一致した症例と有意差を認めなかったが、垂直距離では有意に増大していた。また、関節頭の回転量については有意差を認めなかった。関節頭の前方滑走による垂直移動の増大は異常顎運動の分析のひとつの要素と考えられた。また、3-Dvolume scanによる関節頭、関節円板の任意の断層面での評価が可能である他、顎運動自動解析による運動経路の分析は従来の顎運動記録装置の分析上で、補助的診断法と考える。
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