研究概要 |
1.血清中サイトカイン量の変化 移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)誘導から発症まで、経時的に得られたラット血清中のTNF-α、IFN-γの量をELISAで測定した。TNF-αは誘導から発症まで有意な変化は認められなかった。IFN-γは誘導後(脾細胞静注後)7日目に血清中の量の増加が認められ、発症時は高値を示すもの、低値を示すもの様々であった。 2.標的臓器組織におけるサイトカイン産生 GVHDラットより得られた舌について、病巣内でのIL-1、TNF-αの産生を免疫組織学的に検討した。IL-1、TNF-αともに病巣内での産生が認められた。 3.外因性のサイトカイン投与による病変の修飾 ラットIFN-γを投与し病変の修飾効果を検討した。 (1)IFN-γの全身投与 脾細胞静注後7日間IFN-γを全身投与した。投与群は非投与群と同様、10日目から14日目でGVHDを発症したが、発症後の経過は非投与群に比べ良好であった。 (2)IFN-γの局所投与 脾細胞静注後7日目、9日目にIFN-γを耳介皮舌に局所投与した。投与群は非投与群に比べ耳介皮膚症状が軽徴であった。 4.抗サイトカイン抗体によるGVHDの抑制効果 抗IL-1、抗TNF-α、抗IFN-γを全身投与しGVHDの抑制効果を検討した。抗IL-1、抗TNF-α投与では明らかな変化は認められなかった。抗IFN-γを投与するとGVHDの増強が認められた。
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