研究概要 |
1.血清中サイトカイン量の変化 本年度は特にIFN-γに焦点を絞り、移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD)誘導から発症まで、径時的に得られたラット血清中のIFN-γの量をELISAで測定するとともに、標的臓器組織の病理組織学的変化との関連を調べた。誘導後3日、5日目には血清中のIFN-γ量の増加は認められなかった。また舌、唾液腺、涙腺等の標的臓器組織にも著変は認められなかった。誘導後7日目には血清中のIFN-γ量の軽度増加が認められ、この時期には各標的臓器組織にやはり軽度の病理組織学的変化が認められた。発症時(誘導後10〜11日目)には血清中のIFN-γ量は著明に増加しており、また各標的臓器組織には上皮の破壊を伴う単核細胞の著明な浸潤が認められた。 2.外因性サイトカイン投与による病変の修飾 GVHD誘導後7日間IFN-γを全身投与し影響を調べた。GVHD発症時期はIFN-γ投与群と非投与群間での差は認められなかった。発症時の脾重量はIFN-γ投与群において明らかに増加が認められた。発症時の舌粘膜病変は、上皮基底層の変性・壊死、粘膜固有層の単核細胞浸潤の程度及びその広がりという点において、IFN-γ非投与群に比べ投与群ではそれらの増強が認められたが、浸潤細胞の表現型、分布、数などに関しては有意な差は認められなかった。
|