難治性感染根管症例と思われた15名(20検体)の被験者の根管内から試料を採取後、直ちに嫌気用ポーターにいれて検査室に運ぶ従来の方法とともに、試料を直接嫌気性菌用培地にいれて37℃で24時間培養して試料中の細菌ある程度増菌させた後に検査室へ運ぶ方法を行った。両者の方法で検出される細菌には差は認められなかった。合計15菌種が同定され、最も多く検出されたのはα-Streptococcusで9名から検出された。嫌気性菌の同定においてはPeptostreptococcus、Lactobacillus、Eubacterium、Fusobacterium、Bacteroidesの5菌種が認められた。またα-Streptococcus、Enterococcus、γ-Streptococcusを分離し電気泳動を行ったところ、2名から採取されたα-Streptococcusは同一のものであると思われた。 今回、根管内から得られる試料が微量であることから、採取した試料を直接嫌気性菌用培地にいれて24時間培養してある程度増菌を行った場合でも分離される細菌に大きな影響はなかった。本法はあらかじめ嫌気性菌の存在の有無をおおむね判断することができ有効であると思われた。しかし現時点では分離された嫌気性菌は多種であり、より多くの症例について臨床症状を踏まえて更に詳細に分類検討した上で細菌学的検討ならびに宿主に及ぼす影響を調べる必要があると思われた。
|