研究課題/領域番号 |
07672065
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 哲 北海道大学, 歯学部, 助手 (80184745)
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研究分担者 |
小林 洋一 北海道大学, 歯学部附属病院, 助手 (80231322)
田中 亨 北海道大学, 歯学部, 助手 (90179771)
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キーワード | 根尖病巣 / 難治性感染根管 / 嫌気性菌 / 細胞内情報伝達系 |
研究概要 |
難治性感染根管の原因を明らかにするためには根管内滲出物の採取分析が重要であるが、採取できる試料が微量であるために細菌叢や病態の把握が困難である。そこで試料中の嫌気性菌を簡便・確実に分離同定する方法として、採取した滲出物を増菌用培地に接種して24時間嫌気的に培養した後に検査所に試料を送る方法(増菌法)で培養同定を行い良好な結果を得た。難治性感染根管22例について調べた所、18例で何らかの菌が検出された。その内訳はα-Streptococcus、Enterococcusなど通性嫌気性菌8種、偏性嫌気性菌4種、好気性菌2種が検出された。Enterococcusは従来の報告よりも多数検出された。以上の結果より、増菌法は従来の方法より確実に滲出物中の細菌を検出できると思われた。 次に、Enterococcusは長期症例や難治性感染根管から検出される頻度が高いとの報告が近年なされていることから、同菌種の宿主細胞への影響をより詳細に検討した。分離回収可能であった5株のEnterococcusについて分子生物学的手法により比較したところ、全ての株の由来が異なっていた。また、培養細胞系に感染させ、細胞内情報伝達系(チロシンリン酸化)に及ぼす影響を調べたが、同菌の直接接触ではチロシンリン酸化に変化は認められなかった。このことから、Enterococcusは細胞間情報伝達物質を介して宿主との反応に関与しているのではないかと考えられた。そこで、さらに免疫学的手法を用いて原因を明らかにする必要があると思われた。
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