修復物下に発生する二次う蝕病巣の細菌は、辺縁から侵入した細菌である可能性が高い。そこで、プラークと修復物下二次う蝕病巣の細菌叢との関連性を検討するため、平成7年度は、各種修復物周辺のプラーク構成細菌の分離・同定を行った。すなわち、臨床において、コンポジットレジン、アマルガム、グラスアイオノマーセメナトが修復された歯面に付着したプラークを採取し、嫌気ボックス内で減菌リン酸緩衝液内で連続希釈の後、BHI血液寒天培地、並びにMitis Salivarius培地に播種、嫌気下で7日間、好気下で4日間培養した。被験菌は9歯で、3種の修復歯面上それぞれ3歯づつからプラークを採取した。9歯のプラーク内の生育可能な細菌数は嫌気培養で平均10.2×10^6CFU数、好気培養で平均2.4×10^6CFU数であった。分離菌種とその割合はStreptococcus 27%、Actinomyces 16%、Lactobacillus 6%、その他グラム陽性捍菌23%であった。しかし、3種の修復歯の間で著明な細菌数や菌種の相違はなかった。以上より、プラーク内細菌は嫌気性菌が優勢であることがわかった。分離菌種ではStreptococcus、Actinomycesの順で過去の報告と著しい相違はなかった。しかし、3種の修復歯の間で著明な細菌数や菌種の相違はなかったことから、今後、二次う蝕を有する歯面上のプラーク内や二次う蝕象牙質内に生息する細菌を分離同定することで修復物の違いによる優勢菌種の違いが判明する可能性があると思われる。
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