研究概要 |
本研究は厳密な嫌気培養技術を導入して二次う蝕病巣に生息する細菌叢の正確な把握を試みるとともに、修復物の違いによる二次う蝕に生息する菌種の違いについて検討した。 まず、コンポジットレジンおよびアマルガム辺縁に二次う蝕が認められる歯の表面プラークを採取した。レジン修復歯3例の歯面プラーク内総細菌数は2.73×10^8〜8.72×10^9CFUであり、アマルガム修復歯3例の歯面プラーク内総細菌数は7.92×10^5〜8.02〜10^8CFUであった。Streptococci数やLactobacilli数の占める割合は総細菌数の1/100〜1/3で、コンポジットレジンとアマルガムで歯面に付着するプラーク細菌叢の差は特に認められなかった。 次にコンポジットレジン修復歯3例およびアマルガム修復歯2例の二次う蝕病巣から分離した偏性嫌気性菌の全分離菌に対する割合は、22.7%の1例を除けば73.4%〜100%と高い割合であった。 コンポジットレジン修復の二次う蝕から分離された細菌48株のうち通性嫌気性菌ではStreptococcus株が4株,Actinomycesが1株,偏性嫌気性菌ではPeptostreptococcusが13株,Actinomycesが21株、Arachniaが6例、Eubacterium、Bifidobacterium、Propionibacteriumがそれぞれ1株同定された。一方、アマルガム修復の二次う蝕から分離された139株のうち、通性嫌気性菌ではStreptococcusが64株、Actinomycesが9株およびLactobacillusが2株、偏性嫌気性菌ではPcptostreptococcusが27株、嫌気性Streptococcusが4株、Actinomycesが17株、Eubacteriumが2株、嫌気性Lactobacillus、Propionibacteriumがそれぞれ1株、そしてVeillonellaが12株同定された。 以上のことから、二次う蝕病巣の細菌はプラークとう蝕象牙質の中間的な細菌叢であると考えられた。また、コンポジットレジン修復とアマルガム修復の二次う蝕病巣内細菌叢に大きな差は認められなかった。
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