研究概要 |
歯周病原性細菌Eikenella corrodensの菌体表層に存在するレクチン様の高分子量複合体(LS)について遺伝子工学的解析を行った。 精製LS(500kDa以上)を還元下加熱処理することにより、SDS-PAGE上で約300kDaと45kDaの2本のバンドが検出された。そこで、この45kDa蛋白のN末端アミノ酸配列を決定し、これを基にPCRを行った。得られたDNA断片(69bp)から、サザンハイブリ法やPCR法による染色体walkingを行い、45kDa蛋白をコードする遺伝子領域(約2kb)を得た。DNA塩基配列およびそれから予想されるアミノ酸配列より、45kDa蛋白質はNeisseria属のポーリンと高い相同性が認められ、またグラム陽性細菌の外膜蛋白に特有の構造も認められた。 一方、E.corrodens遺伝子ライブラリー(7-20kbの挿入断片を含む)を作製し、LSのもつ付着・凝集活性を阻害する抗LSモノクローナル抗体を用いてイムノスクリーニングを行った。その結果、約1,200株から3つの陽性クローンが得られ、これらのクローンからはいずれも抗LS抗体に特異的に結合する25kDaの蛋白質の発現が認められた。これらのクローンからプラスミド(15-18kb)を分離し、マッピング解析や欠失解析などにより25kDa蛋白の発現に必要な領域1.2kbを特定した。 現在、クローニングされた遺伝子の解析と遺伝子産物の解析により、これらの蛋白質の構造及び機能を研究すると同時に、他の構成蛋白のクローニングを試みている。
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