平成7年度は、X線光電子分光分析法(ESCA)を歯質ハイドロキシアパタイトの解析に応用し、その有効性を確認した。さらに、研磨用ストリップスを用い、微量な歯質(0.1mg)を口腔内から採取し、ESCAにて分析した結果、エナメル質生検法として有用であり、齲蝕のメカニズムの追求や、臨床における齲蝕感受性の判定にも充分応用可能である確認、その結果を報告した(1995 日本歯科保存学雑誌 第38巻 5号P1205-1211)。 次に、歯質の構成元素との重なりの少ないと思われるチッ化物を含む研磨砥粒を用いた試作ストリップスを作製し、この成分元素の確認を行った。さらに、歯質を非破壊的に採取し、その定性、定量分析を行ったが、砥粒を付着させるために用いる糊剤の影響と思われる測定誤差を生じた。そこで、現在糊剤の変更または、糊剤の固着方法の検討を行い、ストリップスを試作改良中である。
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