平成7年度の研究成果 ウシ長管骨粉を塩酸脱灰後、グアニジン塩酸により骨形成タンパク質画分を抽出し、さらにヒロキシアパタイト、ヘパリンセファロースCL-6B、セファクリルS-30CHRの3段階のカラムクロマトグラフィーにより、骨形成タンパク質を部分精製した。部分精製された骨形成タンパク質の生物活性を検定するために、骨形成タンパク質と骨不溶性基質を複合してラットの背部皮下結合組織内に移植して、2、3週後に移植体を摘出し、軟X線的、生化学的および形態学的に骨形成誘導能を検定したところ、生物活性が認められたため、これを以後の実験に使用した。 骨形成タンパク質を繊維状ガラス膜と複合してラットの背部皮下組織内に移植したところ、移植後2週より、膜内に軟骨および骨形成が認められ、3週には旺盛な骨形成が認められた。同様に骨形成タンパク質とヒドロキシアパタイトを複合した場合にも1週より骨形成が誘導された。特に、ヒドロキシアパタイトと繊維状ガラス膜の結果を比較すると、気孔径あるいはメッシュサイズの大きさに依存して、骨あるいは軟骨形成の誘導過程が異なることが明らかになった。したがって、効果的に軟組織形成を誘導するためには、適切な細胞環境を有する支持体が必要となることが示唆された。今後、支持体の幾何学的構造に注目して象牙質再建の条件を追求する予定である。
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