研究課題/領域番号 |
07672090
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 一祐 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60085743)
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研究分担者 |
須山 祐之 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10163065)
野呂 明夫 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90147231)
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キーワード | 感染性浮遊粉塵 / 口腔内レンサ球菌 / 院内感染対策 |
研究概要 |
日常歯科診療において、私達歯科医師は、患者の血液・唾液に直接触れることが多く、歯牙切削およびスケーリング作業は、職業上必要不可欠なものである。これらの作業に伴い飛散する微生物粒子は、診察室内空気汚染および医療従事者への飛沫感染の可能性を含み軽視することは出来ない。そこで口腔内レンサ球菌を指標として、歯牙切削時および超音波スケーラー使用時の空気中に飛散する微生物粒子をアンダーセンサンプラー装置とMS培地を用い、歯科診療室内空気汚染の状況を調査した。また、同作業時の術者への微生物粒子による個人曝露量については、フェースガード(目)・マスク(口)・エプロン(胸)に飛散した口腔内レンサ球菌を、MS培地上にスタンプアガ-法を用い補集し、37度・48時間培養後、発生コロニーを計数し本邸した。さらに、臨床での実践的な飛沫感染対策として、口腔外バキューム装置の効果も併せて検討した。 【結果】 (1) 歯牙切削時および超音波スケーリング時共に、歯科診療室内の空気中に容易に口腔内レンサ球菌が確認された。 (2) 口腔外バキューム装置の使用により、歯牙切削時および超音波スケーリング時共に90%以上の徐菌効果が認められた。 (3)歯牙切削時は、超音波スケーリング時に比較して微生物粒子が広範囲に飛散しており、術者への個人曝露量も多い傾向が判明した。 【評価】 (1) 環境のモニタリングの指標として用いた口腔内レンサ球菌は、歯牙切削時および超音波スケーリング時に発生する感染性浮遊粉塵による歯科診療室内の空気汚染状態を評価する上で有用であった。 (2) 口腔外バキューム装置は、その使用による徐菌効果は明らかであり、歯科診察室内の空気汚染の防止と共に、術者および介助者へ飛沫感染を防止する有効な手段と示唆された。 (3) 歯牙切削時および超音波スケーリング時には、微生物粒子が発生し、術者および介助者の顔面付近に飛散することが確認されたことから、接触感染のほかに飛沫感染の可能性も考えられ、各種飛沫感染を伴う疾患ならびに特殊感染症を有する患者の歯科診療に際しては、『クリーンブ-ス』や『口腔外バキューム装置』などの対策が必要と推察された。
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