研究概要 |
歯周組織再生にとって最も重要と考えられているヒト歯根膜由来線維芽細胞の培養上清(HPLF-CM)中に、HPLFの接着、伸展を増強させる因子の存在を明らかにしてきた。 本研究においては、外科処置後の歯根面に最も広い範囲で接している歯肉結合組織に注目し、ヒト歯肉粘膜固有層中に多く存在するヒト歯肉由来線維芽細胞の培養上清(HGF-CM)を採取し、ヒト歯周組織由来細胞である、ヒト歯肉由来線維芽細胞(HGF)、ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)の化学走化性につてい検索し、化学走化性物質の存在を明らかにした。 HGF-CMは 1.HPLFに対し350ng/ml(100%HGF-CM)で、positive controlであるHPLF-CM(100%)と同程度の高い化学走化活性を示した。 2.HPLFに対するchecker board analysis法の結果、上室と下室のHGF-CMの濃度差が175ng/ml以上であるとnegative controlと比較し、有意に高い化学走化性を示した。 3.HPLFに対しrandom migration, chemokinesisのランダム運動の活性は認められなかった。 4.HGFに対しpositive controlであるHPLF-CM(100%)と同程度の強い化学走化活性が認められた。 これらのin vitroでの結果は、歯周外科処置後に歯根面への結合組織性の付着を得るために重要と考えられる物質を、歯周組織の再生にとって欠かすことのできないヒト歯肉組織由来線維芽細胞が産生することを示唆するものである。
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