ラットの歯髄を電気刺激することにより誘発される顎二腹筋筋電図の振幅を指標として、その刺激部位にGaAlAsレーザーの照射を行い、レーザーの開口反射抑制効果について検討した。その結果、強さ1.5Tの歯髄刺激により誘発される開口反射に対して、レーザー出力を各々100mW、300mW、600mWに増強し、刺激側の歯牙に180秒間レーザー照射したところ、出力100mWでは照射15分後にコントロール値の約41%に減少した。その後、比較的すみやかにコントロールレベルに回復した。さらに、出力が300mWと600mWでも同様の傾向が認められた。また、100mWでは、照射終了直後から、20分間、300mWでは15分間、600mWでは10分間にわたりその抑制効果が認められた。強さ1.75Tの電気刺激により誘発された開口反射に対して、出力100mWで照射した場合、照射終了直後より顎二腹筋筋電図の振幅は徐々に減少し、その抑制効果も照射直後から約20分間認められた。さらに、300mWや600mWで照射した場合も同様に減少傾向を示し、300mWで照射した場合、約20分間、600mWの場合、15分間、その抑制効果が認められた。強さ2.0Tで誘発される開口反射に対して、出力100mWの場合、反射の抑制は認められなかった。しかし、300mWや600mWで照射した場合は照射終了直後より、顎二腹筋筋電図の振幅は減少し、300mWでは、約30分間、600mWでは、約20分間にわたり、その抑制効果が認められた。また、反射の抑制に伴う発現時間に関して、出力間による違いは認められなかった。 以上のことから、出力を増強することにより低出力半導体レーザーは強い疼痛抑制効果を示すことが明らかとなり、さらに、基礎実験を積み重ねることにより将来、本装置が臨床応用への道を開く可能性のあることが示唆された。
|