研究概要 |
メタルインレーの合着は、昔から使用されてきたリン酸亜鉛セメントの他に、近年、歯牙や金属に接着するという接着性合着用セメントが各種開発され、臨床に使用されている。そこで、実験1として臼歯咬合面単純窩洞のメタルインレーを各種セメントで合着し,2000回のサーマルサイクリング後に,メルコックス・ロ-ダミン法による辺縁漏洩試験をした。その結果つぎの結果をえた。 (1)辺縁漏洩が少ないと思われていたメタルインレーに,窩底までの漏洩が見られた。 (2)リン酸亜鉛セメントの合着では全試料に,漏洩が無いとされる接着性レジンセメントでも半数の試料に,窩底に及ぶ漏洩が見られた。 (3)アウトラインも辺縁漏洩に影響する重要な要素である。 実験2では、ベースを施さないで印象をとってから軟化象牙質をとり、凹陥のままインレーを合着する事が臨床で時にある。これを想定して、MO2級窩洞、ベースを施した窩洞、ベースすべき凹陥をそのままの窩洞に、グラスアイオノマーレジンセメント2種と接着性レジンセメント1種の合計3種のセメントを使用し、セメント合着した。2000回のサーマルサイクリング後に,メルコックス・ロ-ダミン法による辺縁漏洩試験をした。その結果つぎの結果をえた。 (1)髄壁にBase裏層や、そのままの凹陥でセメント合着しても、髄壁や側壁に及ぶ漏洩に影響は無いが、凹陥が側壁に含まれるときは、漏洩に影響するので注意する必要がある。(2)軸壁にBase裏層や、そのままの凹陥でセメント合着すると、漏洩が増大し、凹陥が歯頸壁に含まれる場合には、漏洩に特に影響しているので注意する必要がある。 (3)歯頚壁に及ぶ漏洩が最も多かった。
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