本研究の目的は、下顎両側性遊離端欠損症例で鉤歯に歯周疾患をもつという想定の下、適切な設計基準を解明するため3次元光弾性模型を作製し、鉤歯や顎堤等の内部応力を調査することである。具体的には、新しい光弾性荷重装置とCCDカメラ・ビデオ装置等を用いた画像解析システムを開発することおよび下顎の両側性遊離端欠損の3次元模型を作製し、3種類の維持装置を用いた場合の応力伝達特性を比較することであった。 今年度においては、新しい荷重装置と画像解析システムを開発し、またそれらの荷重装置等を用いた765|567欠損で4|4鉤歯の内部応力の解析は終了した。すなわち4|4鉤歯に中等度の骨欠損を有する765|567欠損の光弾性模型をNormal模型を含めて3種類作製した。そして、I.バ-クラスプおよび近心レスト、遠心レスト付2腕鉤を用いた3種の部分床義歯を製作し、鉤歯に隣接する残存歯の連結歯数を変化させたときの内部応力を43部に焦点を当てて、比較検討した。 その結果、1)同一の荷重条件の下では、最も大きな骨欠損部に最も強い応力の集中が観察された。2)2歯連結と3歯連結を比較した場合、応力の集中は3歯連結において著明に減少した。しかし、4歯連結から8歯連結まで連結歯数を増加しても応力の分散、減少は認められなかった。3)近心レストと遠心レストの比較では、近心レストにおいてより応力の均一な分散が認められた。4)I.バ-クラスプの場合が、3種類の維持装置の中では、最も応力の均一な分散が認められた。
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